仕事で帰りが遅くなってしまった日の事です。
乗った電車が伊東駅発の東海道直通線でした。
疲れていたので、電車の中でコーヒーが飲みたくて、一番後ろのボックス席がある車両に乗りました。
その車両には私の他に、年配の女性と後部に男性がいただけで、他に誰もいませんでした。
もうすぐ降りる駅に着くころ、その年配の女性が私に話しかけました。
「よかったら、一緒に車両を移動しませんか?」
とおっしゃるのです。
私は問われている意味が分からないまま、「次の駅で降りるので、大丈夫です。」
と答えました。
「それなら大丈夫ね!」
とその女性と一緒に下車しました。
下車してから女性が
「実はあの車両にいた男の人が、ちょっと変で車内を行ったり来たり、座ってはすぐに席を立って移動したり
で、様子がおかしく、私のすぐ後ろに座っていたから、あなたを置いて降りるのが不安だったんですよ、」
と言われたのです。
私はそのことに全く気付いておらず、驚き、そしてその女性にお礼を言 いました。
見ず知らずの他人にこのようなことをなかなか言えないと思いました。
自分がそういったことが言える、勇気ある人にならなくては、と実感した出来事でした。